浮気者上司!?に溺愛されてます
「気をつけて帰れよ」
左手をヒラヒラと翳しながら、桜庭課長は私にクルッと背を向ける。
そして、仕事中と変わらない緩~い空気を漂わせて、一人大通りに歩いて行ってしまった。
その背中を何も言えずに見送ってしまった自分がとても悔しい。
だ、だって桜庭課長、私になんて言った!?
私には、『俺がなってやるよ。……お前の初カレ』って聞こえたんだけど!!
初カレ……彼……恋人。
優秀でイケメンエリート、社内の大多数を占める年齢層の女子社員が憧れる桜庭課長が、私の初カレ!?
ドッドッと大きな音を立てて、心臓が鼓動を刻んでいる。
それはある意味願ってもいない幸運……というか、まるで夢みたいな話だと思った。
年齢的に……と言うより気分的に崖っぷちの私には、思わずグラッとくる魅惑的な誘惑ではあった。
だけど……。
次の瞬間、私は痛すぎる現実に気づいてしまった。
私の頬を、頭を撫でて、ヒラヒラッと振った左手。
その薬指には誤魔化しようのない真実が表れている。
――桜庭課長、結婚してるよねっ!?
そう、その証があるからこそ、大多数の女子社員は指を咥えて眺めるしか出来ないのだ。
もちろん、あんなモテ男でも浮いた噂を聞かないのはそれが所以。
なのにあんな……。からかってるだけにしろ、私に二度もキスするなんて!
その上『初カレ』なんて、どうして私が脅迫されるような目に遭っているの!?
考えたくない。
少なからず上司として好感を抱いていたからこそ、そんな平然と『浮気』を仄めかす桜庭課長が許せないし、傷つく。
いくら……いくら崖っぷちの寂しいOLでも、初めてのカレと浮気の恋愛なんて……。
初めてだからこそ、お断りなんです!!
左手をヒラヒラと翳しながら、桜庭課長は私にクルッと背を向ける。
そして、仕事中と変わらない緩~い空気を漂わせて、一人大通りに歩いて行ってしまった。
その背中を何も言えずに見送ってしまった自分がとても悔しい。
だ、だって桜庭課長、私になんて言った!?
私には、『俺がなってやるよ。……お前の初カレ』って聞こえたんだけど!!
初カレ……彼……恋人。
優秀でイケメンエリート、社内の大多数を占める年齢層の女子社員が憧れる桜庭課長が、私の初カレ!?
ドッドッと大きな音を立てて、心臓が鼓動を刻んでいる。
それはある意味願ってもいない幸運……というか、まるで夢みたいな話だと思った。
年齢的に……と言うより気分的に崖っぷちの私には、思わずグラッとくる魅惑的な誘惑ではあった。
だけど……。
次の瞬間、私は痛すぎる現実に気づいてしまった。
私の頬を、頭を撫でて、ヒラヒラッと振った左手。
その薬指には誤魔化しようのない真実が表れている。
――桜庭課長、結婚してるよねっ!?
そう、その証があるからこそ、大多数の女子社員は指を咥えて眺めるしか出来ないのだ。
もちろん、あんなモテ男でも浮いた噂を聞かないのはそれが所以。
なのにあんな……。からかってるだけにしろ、私に二度もキスするなんて!
その上『初カレ』なんて、どうして私が脅迫されるような目に遭っているの!?
考えたくない。
少なからず上司として好感を抱いていたからこそ、そんな平然と『浮気』を仄めかす桜庭課長が許せないし、傷つく。
いくら……いくら崖っぷちの寂しいOLでも、初めてのカレと浮気の恋愛なんて……。
初めてだからこそ、お断りなんです!!