浮気者上司!?に溺愛されてます
あーあ……。ヘラヘラしちゃって。
鼻の下伸びちゃってるよ~……。
幸せだだ漏れにしてしまりのない顔をするなんて、高津らしくない。
カッコ悪……。


ただの惨めな負け惜しみだってわかっていて、ついついそんな愚痴を心の中で増長させてしまう。


だって、せっかくの週末なのに、私はなんで二人の『付き合うことになりました』報告を聞かなきゃいけないんだか。
そりゃあ、別に予定はないけどさ。
突然誘われてもOK出来る私が悪いんだけどさ……。


私が空返事をし出した頃には、もう二人は向かい側の席で、私の存在も忘れてイチャコラと距離近目に話をしていた。


もういい。
もうこれ以上付き合う必要はないだろう。


猛烈な疎外感と虚しさを感じて、私は小さく溜め息をつくと、テーブルに手をついて立ち上がった。


「奏美?」

「水野?」


恋人同士らしく息ぴったりで首を傾げる二人に、ヘラッと笑って、ごめんと謝る。


「私、明日早いんだ。悪いけど、先に出るね」


そう言いながら両手を合わせると、二人は特段私を止めようとはしない。


「そっか、また来週ねえ!」


ももちゃんの声に見送られて、私は荷物を抱えると、週末で混み合う居酒屋を逃げるように後にした。
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