浮気者上司!?に溺愛されてます
「奏美の失言? 俺とキスしたこと? 実は恋愛経験ないんですって暴露したこと? 俺と付き合うようになったこと?」


指で数え上げながら恭介が繰り出すあの夜の記憶。
恭介の指が一本ずつ折れるのを見るごとに、私の体温が上昇していくような気がした。


改めて積み上げられると、顔から火が出るほど恥ずかしい。
自分で聞いていても、あまりの痛さに涙が出てきそうだ。
そして私がなかったことにしたいのは、もちろん……。


「ぜ、全部?」

「強欲だねえ」


溜め息をついて即答された。


「で、でもっ! 恭介だって、その方が都合いいでしょう!?」


もうこの人の前で、これ以上恥ずかしいこともないだろう。
開き直った私は、ようやく強気の反論を開始した。


「俺?」

「そうよ! だ、だって私なんかよりも恭介の方が絶対困るじゃないっ!」

「別に? 俺、彼女いないし」

「彼女がいないのは当たり前でしょっ!」


奥さんがいるんだからっ!と続けようとしたのに、


「なんだ、知ってるなら別にいいじゃん。俺も好きな子と付き合えてメリットあるし」

「……は?」


あまりにシレッと言われて、言いかけた言葉は止まってしまった。
そして、自分の耳を疑いながら、短く聞き返すしか出来ない。
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