浮気者上司!?に溺愛されてます
「ん? 何?」


なのに、恭介は更に私に聞き返してくる。


「い、今、なんて……」


私の耳、あまりにキャパ越えの言葉を聞き過ぎて、故障してしまったんだろうか。
私には間違いなく、恭介が私のことを『好きな子』と言ったように聞こえたんだけど……。


「俺、奏美のこと好きだよ。言ったろ? いい子だと思ってたって」


他の誰でもない、恭介の言葉で完全に肯定されてしまう。


す、き? 好き……? って、恭介が私のことをっ!?


言われた言葉を頭の中で念入りに噛み砕いてから、私の胸に津波が押し寄せるような速度で現実が追いついてきた。


「い、いい子って……。それって、仕事上の部下としてって意味じゃ……」


真っ赤な顔で混乱しながら呆然と呟くと、ああ、と短く言って恭介は頬杖を解いた。


「そっちでとってたか。だろうね」

「でっ、でも恭介はっ……!」


結婚してるくせに、私のことを好きだなんて言っちゃう人なのっ!?と腰を浮かせながら言おうとした時、


「奏美だって俺のこと好きなんじゃないの?」


恭介がシレッと私に言った。
あまりにあっさり言われた驚きの言葉に、思わず目が点になってしまう。


「……今、なんと?」

「あれ。おかしいな。俺の勘違いだった?」


恭介は腕組みすると、う~んと唸って考え込むように首を傾げた。


「いつもすっごい熱い視線を感じた気がしたんだけど……」

「はっ!?」

「俺が奏美をいい子だなって思うようになったのも、奏美の怨念のせいか、ってね」


涼しい顔して、何を言う。
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