浮気者上司!?に溺愛されてます
「これだけ言っても責任取らないって言うなら、今期のお前の自己査定で……」

「ひ、酷っ……! それって、脅迫じゃないっ!」


人事考課をちらつかせてそんなことを言われたら、私だって雇われて働くOLなのだから、取り合わないわけにもいかない。
私の反応を確認して、恭介は椅子に大きく背を預けてふんぞり返った。


「人聞き悪い。脅してないし。『責任能力ゼロ』って当然の評価を盛り込むだけ」

「……それのどこが脅してないって言えるんですか……」


そう呟いて、今度は私の方がガックリとこうべを垂れた。
正面からは、クスッと笑う小さな声。
そして、恭介が私に手を伸ばして、ポンと軽く頭を叩いた。


「悪いようにはしないよ。俺の方は金曜日に言った通り、責任取ってやりたいって思ってるし」


責任取って取られて、いったい何の意味がある付き合いなんだろう。
いつも目の保養と思っていた恭介の微笑みが、今は悪魔としか思えない。


「なんで私がこんな目に……」


もう完全に抵抗を削がれてしまった気分で、私はテーブルについた手をカタカタと震わせる。


なんで寄りによって既婚者と。
初めての『彼』と浮気の恋愛をしなきゃいけないの。


そんな私に、恭介は、大丈夫だよ、と言い放った。


「俺と付き合って後悔なんかさせないよ。大丈夫、大丈夫。これでもかってくらい可愛がって、愛してやるから」

「……っ……!」


思わず顔を上げた私の前で、恭介はそれはそれは甘く妖艶に微笑んだ。
そんな笑みにドキドキして、文句も言えなくなってしまうのは……。
きっと、私だけじゃない。
普通の感覚を持った女ならば、抗いようもないはずだ。


「こんなの……。恋になるわけないんだから」


悪あがきのように呟くのが精いっぱいだった。





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