浮気者上司!?に溺愛されてます
毎週月曜日の午後、うちの課の全体会議が行われる。


中会議室にコの字型に配置されたデスク。
真ん中の空いたスペースにはプロジェクターが設置されて、主に総合職の社員がこれまでの活動報告を行う。
中会議室の上座に当たる窓を背にしたど真ん中の席が、課長である恭介の定位置。
そしてその左隣は課長補佐で唯一の女性総合職、羽村さんが座る。


それ以外はいつも適当で、今日も課員十五人が入った順に席についていた。
恭介の右隣は記録担当者の席で、私を含めた一般職五人の当番制なのだけど、面倒なのに率先してやってくれる三人の早い者勝ちみたいになっている。
おかげで、恭介がうちに異動してきてからの一年間、私は記録業務から解放されていた。


会議開始から、一番手を切って高津が報告を進めている。
パワーポイントを操作しながら報告する内容は、この課で五年働いている私でもなんのことやらさっぱりわからない内容だ。


この宇宙開発部では、その名の通り宇宙開発に関連したドでかいモノを研究開発、そして製造までの企画を行っている。
例を挙げれば、宇宙ステーションや人工衛星辺りがいくらか耳馴染みがいいか。


今も高津が惑星だのロケットだの……とそれはそれは小難しいことを専門用語を駆使して報告している。
ちゃんと真剣に耳を傾けているのは総合職の男性と羽村さん、そして、内容はともかく高津の声に聞き惚れているももちゃんくらい。
記録係ですら気を抜けば舟を漕ぎ出すし、末席を陣取る私たち一般職の意識はそれこそ遠い宇宙の彼方だ。


私ももちろん例に漏れず、頬杖をついて誤魔化しながら、何度もガクッと額をテーブルにぶつけそうになった。
その度に慌てて顔を上げて辺りをそっと窺い見るけれど、上座の恭介ですら、ふんぞり返って長い足を組んで座りながら、大きな欠伸を憚らずにいる。
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