浮気者上司!?に溺愛されてます
もしかして、って思ってたけど。
まさか本当に、恭介がそういうつもりで高津に攻撃していたなんて。


「……いいんじゃないですか? 仕事なんだし、部下の士気を高める意味では」


本当は、本人が言う通り、いつもの恭介と違って意地悪だと思った。
だけど上司として意見した恭介は間違ってないし、何よりいつもの緩さに甘んじかけていた課員を発奮させたのはいいことだと思う。


ただ、もしかして私が原因?なんて一瞬自惚れた疑いを抱いてしまった。
そして、恭介の一言で、その自惚れが肯定されてしまったら、私はどうしていいのかわからない。


「我ながら、大人げなかったよなあ。高津には悪いことした」


そう言って、恭介が立ち上がったのが気配でわかった。


「だったら、それとなくフォローしてあげれば大丈夫です。高津はああ見えて根性あるし、きょ……桜庭課長の意地悪を意地悪だと思うほどひねくれてないです」


背を向けたまま一気にそう言うと、近づいてくる足音と一緒に、フッと笑う声が聞こえた。


「わかった。ちゃんと謝っておく」

「あ、謝るとかじゃなくて。……だって、課長は間違ってないから……」

「そうだけど、俺は意地悪したくて仕方なくて言ったし」


その声は、すぐ背後から聞こえてきた。
恭介との距離が思う以上に狭まっているのがわかるから、私はただ肩を強張らせて黙り込んだ。
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