浮気者上司!?に溺愛されてます
『浮気男の彼女』さんは、浮気された被害者だけど、私は彼女とは対局に位置する悪役、『会社の後輩』の方なんだ。


しかも、隣席では『会社の後輩』を罵る流れに変わってきていて、なんだか私が責められているような気分にもなってくる。


『その女も、コウジ君に彼女いるってわかってて付き合ってたんでしょ? ほんとサイテー』

『そういう軽い女は、きっと遊びの恋愛しか出来ないんだよ。絶対いつか痛い目見るね』

『人の物に手を出すなんてねえ。自分に本気の男が出来た時、他の女に寝取られるって。こういうの、因果応報って言うの?』


あああ……。
ほんと、一々胸が痛む。


と言うか、私は手を出したわけでも寝取ったわけでもない。
もちろん、本当にそんな関係にならないように、拒否し続けている。


そりゃあ、カッコいいって思ってたし、上司として慕っていた。
こんな彼氏がいたらいいなあ、と思ってたし、憧れに近い気持ちは確かにあった。


それ以上強く思う気持ちにならなかったのは、当然、恭介が結婚してることを知っていたからに他ならない。
どんなに恭介が素敵でも、奥さんのいる人に恋するなんて無謀だし、時間の無駄でしかないんだから。


そうやって、私は健全な恋愛を出来る相手を捜していた。
周りから非難されることも、後ろめたい気持ちを抱えることもない、普通の恋愛を求めていた。


なのに……。


今、私は世間的に言って悪い女。
しかも私の場合、相手は彼女ではなく奥様だ。
どう考えても、より一層重罪なのは一目瞭然。
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