浮気者上司!?に溺愛されてます
週の真ん中のこの日、恭介は朝から一人、小会議室を占領して書類仕事をしていた。


仕事は普通自分のデスクで行うものだけど、書類を大きく広げるスペースが欲しくて、役職者たちが小会議室に引きこもって仕事をするのはよくあること。


来週、うちの部は外部監査を控えていた。
事前提出資料の準備は課員みんなで分担して行っていたのだけど、その全ての最終確認は課長の恭介が行わなければならない。
おかげで恭介は別室でその膨大な資料の山に埋もれているというわけだ。


私が出社した時は既に恭介は小会議室に籠っていたから、朝から一度もその姿を見かけていない。
一度も顔を見ない日なんて今までももちろんあったこと。
それなのに、私はなんだかちょっと落ち着かなくて、フッと気づくとその姿を捜している自分に気づいた。
そして、ハッと我に返って仕事に集中しようとする。
今朝からそんなことの繰り返しだった。


お昼は高津とももちゃんカップルにお邪魔させてもらって外出したけれど、麻婆豆腐を食べながら、恭介がちゃんとお昼をとったかが気になってしまった。


戻って来て仕事をして、三時でコーヒーブレイクをとりながらも、小会議室に差し入れでもしようか、なんて考えたりもした。
そしてそんな自分を慌てて叱咤する。


そりゃ、部下としておかしな行為じゃないけれど、今までそんなことしたこともない私が、いきなり恭介を過剰に心配したりしたら、どう考えても怪しまれるに違いない。
そして、そこまで過剰に心配する私も私だ。
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