浮気者上司!?に溺愛されてます
合コンって……幹事役じゃなく参加するの、もしかしたら初めてだったかもしれない。
大学時代も社会人になってからも、とにかく仲間の多い私は頼まれて主催する側に立つばかり。


誘った友達がちゃんと楽しんでるか、一人でポツンとしてる子がいないか、そんなとこばかり気にして、自分の方は何の成果もないまま……。
だから、自分も楽しんでいい側で参加すると、ノリがわからずに困ってしまう。


「どうも、初めまして」


同期に誘われた合コンは、男性側はみんな経営戦略部の若手で、年齢層は二十五歳から三十五歳まで。
女性側はいろんな部からの寄せ集めで、みんな同期だった。


プライベートとは言えあくまでも社内のノリ。
だから合コン自体はかなり落ち着いた雰囲気で始まった。
そして私は天性の人当たりの良さで、上から下まで十歳の年齢差がある男性陣とも当たり障りのない会話を楽しめた。


それでも……。途中からやっぱりいつもの幹事癖がムクムクと湧き上がってくる。


集まった同期の中でも一番地味な子が一人で居心地悪そうにしてるのを見て、二人で話していた三十歳の男性に一言謝って、彼女の隣に移動した。
そして、私がまず会話を引き出してから、それとなく席を立って彼女の隣に男性を仕向ける。


その甲斐あって、彼女も男性と話し始めた。
気づいたら、合コンが終わる頃にはその人とどこかいい雰囲気になっていて、二次会のお店に着いた時、その二人だけが図ったようにはぐれていた。


自分でも苦笑が漏れる。
私、何やってんだろうな~……。
人を気にするほどの余裕なんかないのに。
せっかく本気で楽しんでいいはずの合コンで、周りばかり気にしてるなんて。


カラオケで弾ける他の面々を眺めて、拍手して、合いの手を入れて、時には立ち上がって踊って、結局私は幹事じゃなくても盛り上げ役に徹していた。
< 54 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop