浮気者上司!?に溺愛されてます
そりゃあ……。
今日の合コンのメンバーの誰もが、恭介ほどイケメンでもエリートでもなかったけれど、私が求めるのはそんなことじゃないはず。
みんな独身だったし、もしも付き合うことになったら、ちゃんと私と向き合ってくれそうな誠実さを感じられた。
普通の恋愛を私に教えてくれそうな人たちばかりだったのに……。


「……何やってんのよ、私」


こんな自分があまりに痛くて、もう慰めようもない。
だって私、彼らと会話をしながら、考えてしまったんだ。


『この人は、恭介以上に私を大事にするって言ってくれる? 可愛いって言ってくれる?』なんて……。


恭介の浮気でしかない上滑りな言葉と比べて、誰にもそれ以上を感じられない自分が、本当にバカみたいだと思った。
そうして自分に自嘲して、大きく肩を落とした時……。


「あ、あのさ、水野さん」


いきなり後ろから声をかけられて、ビック~ンと肩を震わせてから、恐る恐る振り返った。


「あ……」


そこには、二人で話していて少し盛り上がったかな、と思えた三十歳の男性が立っていた。
え~と……確か、名前は堀川さん、だったような……。


「あのさ。本当はもっと話したかったんだけど、なんかその後チャンスなかったから。……良ければ、もう少し一緒に話せないかな?」

「え?」


はにかみながらそう言う堀川さんに、私は素で目を剥いた。
< 56 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop