浮気者上司!?に溺愛されてます
「……あ、時間遅いから、後日二人で……って言うのでもいいんだけど……」


そう言われて改めて時間を気にする。
私の腕時計は、午後十一時を過ぎていた。


「……え、っと……」


お酒が入っているせいか、鼓動が速くなるのを感じた。


たとえばこの後堀川さんと二人で飲みに行って、時間を忘れるほど会話が弾んでしまったら……。
二次元の世界でよく見かけるような、『終電なくしました。じゃあ一緒にラブホでも……』なあんて流れになったりするんだろうか。


いやいや、それはさすがに考えすぎか。
でも、堀川さんは一度バイバイしてから、私を追いかけて来てくれたんだ。
私だって悪い印象は持ってないし、それならいっそ……。
独身ってだけでも、恭介に比べたら私の中でのポイントは高いはずだ。


それにこの人は今日の五人マイナス一人……の中で、私を選んでくれたんだ。
いつもいつもただのキューピッド役でしかなかった私と二人で、って言ってくれたんだ。
それなら、何も迷うことなんかない。


一度だけ心の中で迷いながら、私は堀川さんに一歩歩み寄った。
そして、はいと返事をしようとしたその瞬間……。
いきなりグッと後ろから肘を引かれた。
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