浮気者上司!?に溺愛されてます
「こっちかも。確か、この間……」


そう言って再び頭上に目を向ける私に。


「ランチ、楽しかった?」


恭介がそう訊ねてきた。
黙って伸ばした手を止めると、恭介が更に畳みかけてくる。


「人の物でも、やっぱり高津のこと好き?」


一瞬、グッと言葉に詰まった。
それでも気にせず、はい、と顔を上げた。


「同期だし、そんな感情なくても好きですよ」


シレッと返事をした私に、恭介がジッと目を向けているのがわかるから、私は目線を動かせない。


「……同期だってだけで、羨ましくなるな」


更にそんなことを呟かれて、私は思わず目を伏せた。


「なあ、奏美……」


呼びかけられた瞬間、下げた目線に恭介が探しているファイルを見つけた。
それにホッとして少し屈みこんでから、ファイルを抜き出す。


「ありました。どうぞ」

「奏美」

「……課長。どうぞ」


微妙に目を逸らしたまま、手にしたファイルをグイッと突き出した。
惰性で恭介が受け取るのを見て、クルッと背を向ける。


「……聞きたいんだけど」


短く訊ねられて、一瞬手を止めた。
それでも、すぐに気を取り直してファイリングを再開する。


「痛い恋はしたくない、って、どういうこと?」


この間の夜の私の言葉を持ち出す恭介に、ピクッと身体が震えた。
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