浮気者上司!?に溺愛されてます
「俺と一緒じゃ人目を避けなきゃいけないってことか。……どうしてそう思うのか、わからない」
溜め息交じりにそう言う恭介の方が、私にはわからない。
「からかいたいだけなら、私じゃなくて他を当たってください」
これ以上何を話しても無意味だという意味をこめて、私は恭介から目を背けたままでそう言い放った。
その途端に、恭介の強い視線を感じた。
「だから、ちょっと待てよ……」
「っ……」
腕を掴み上げられて思わず息をのんだ時、書庫の外から声が聞こえた。
「ちょっと、桜庭課長どこに行ったか知らない?」
羽村さんの声だ。
ハッとして顔を上げると同時に、恭介もドアの方に目を向けた。
「ったく、会議始まるのに何やってんのよ……」
苛立つ声が聞こえて来て、恭介も溜め息をついて私の手を放した。
そして、次の瞬間、羽村さんが書庫のドアを大きく開けた。
「……課長っ! 会議始まりますよ。急いでください」
「……はいはい」
眉を上げていつも以上に苛立つ羽村さんの形相に肩を竦めて、恭介がいつもの調子で返事をした。
そして、チラッと私に目を遣るだけで羽村さんに文句を言われながら書庫を出て行く。
その背中を見送って、私は大きく肩で息をした。
そして、無駄に騒ぐ胸を一度押さえてから、ただ黙って手を動かし続けた。
私が言ったことは、何も間違ってない。
きっと誰もが同じことを恭介に告げるはず。
どんなに恭介が私を好きだと言ってくれても、それが嬉しいと思っても、受け入れるわけにはいかないんだから。
誰かの目を気にして、後ろ指を刺されるのを恐れて、陰に隠れるようにしか紡げない恋なんて、したくない。
溜め息交じりにそう言う恭介の方が、私にはわからない。
「からかいたいだけなら、私じゃなくて他を当たってください」
これ以上何を話しても無意味だという意味をこめて、私は恭介から目を背けたままでそう言い放った。
その途端に、恭介の強い視線を感じた。
「だから、ちょっと待てよ……」
「っ……」
腕を掴み上げられて思わず息をのんだ時、書庫の外から声が聞こえた。
「ちょっと、桜庭課長どこに行ったか知らない?」
羽村さんの声だ。
ハッとして顔を上げると同時に、恭介もドアの方に目を向けた。
「ったく、会議始まるのに何やってんのよ……」
苛立つ声が聞こえて来て、恭介も溜め息をついて私の手を放した。
そして、次の瞬間、羽村さんが書庫のドアを大きく開けた。
「……課長っ! 会議始まりますよ。急いでください」
「……はいはい」
眉を上げていつも以上に苛立つ羽村さんの形相に肩を竦めて、恭介がいつもの調子で返事をした。
そして、チラッと私に目を遣るだけで羽村さんに文句を言われながら書庫を出て行く。
その背中を見送って、私は大きく肩で息をした。
そして、無駄に騒ぐ胸を一度押さえてから、ただ黙って手を動かし続けた。
私が言ったことは、何も間違ってない。
きっと誰もが同じことを恭介に告げるはず。
どんなに恭介が私を好きだと言ってくれても、それが嬉しいと思っても、受け入れるわけにはいかないんだから。
誰かの目を気にして、後ろ指を刺されるのを恐れて、陰に隠れるようにしか紡げない恋なんて、したくない。