浮気者上司!?に溺愛されてます
「なんかあったか!? 怪我とか……どっか調子悪いとこは?」


私が見つめるその視界の中で後ろ手にドアを閉めて、恭介はいつもの緩さをフッ飛ばして真剣そのものの顔で捲し立てる。


私の両腕を掴んで、無事を確認するかのように。
その手を肩に移動させて、そして両頬を挟むように顔を覗き込んできた。


「……無事か?」


真っすぐな瞳が突き刺さる。
そう、私はこの瞳にいつもドキドキさせられる。


でも、今日ばかりはただドキドキするだけじゃ割に合わないっ……!


「……良かった……」


恭介がホッとしたように息をついた、その油断しきった瞬間をついて。


「なんなのよっ……!!」


恭介の手を振り払って、驚いたようによろけたその身体に、思いっきりバッグを振り回す。


「うわっ、奏美っ……」

「なんでこんなことするのっ!? 人のこと見張ったり後尾けたり……。わ、私がどれだけ怖い思いしたと思ってるのよっ!」


私を押さえようと手を伸ばす恭介を無我夢中で振り払って、思いっきりドンと胸を叩いた。


「うわっ……」


玄関の段差に突っかかった恭介の身体が、グラッと後ろに傾いていく。
そこに攻撃する私の勢いも全く止まらず……。
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