浮気者上司!?に溺愛されてます
「水野さんも高津君も……あなたたちの代は特に仲がいいわよねえ。悪いとは言わないけど、仕事は同期だけで進めるもんじゃないのよ。わかってるの!?」


さすがに、うっと言葉に詰まる。
高津が横から申し訳なさそうに小さく手を合わせるのが見えた。
それでも、烈火の如く怒る羽村さんに、私も何も言うべき言葉が見つからない。


「いいんじゃないですか? 仲良し同期。仕事でもプライベートでも頼れる同期ってのは、社会人になって初めて出来る財産なんだから。何もそこまでこき下ろすことないでしょう」


それまで黙っていた恭介が、レジュメを捲りながら軽く頬杖をついた。
静かな声に勢いを削がれたように、立ち上がりかけていた羽村さんがグッと息をのんだ。


「でも、桜庭課長……」

「まあ、羽村さんの考えも理解出来ますけどね。結果を出してこそ、仕事で評価される。でも、あなたのようにその過程を全く無視してたら、育つもんも育たないでしょうが」

「課長、私は何も……!」


自分の正論を説こうと、羽村さんの矛先が恭介に向く。
そして恭介は面倒くさそうな上目遣いの目を羽村さんに向けた。


「それにね。俺からしたら、助言を求めてきた部下を怒鳴り散らす羽村さんより、水野の言う通り対策を一緒に考えることに時間を割きたいんですけど。時間は有限なんだ。あなたのようにヒステリックに喚き散らす間がもったいないと思うんですよね、俺」


不快そうに眉間に皺を刻んでチラッと横目を向ける恭介に、羽村さんが顔を真っ赤にして怒りをのみ込むのがわかる。
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