浮気者上司!?に溺愛されてます
二度連発した後で、目じりにはうっすら涙も浮かんでいる。
私はそれをあえて見ないように目を逸らすけれど……。


「……桜庭課長、なんか眠そうですね。寝不足ですか？」


自分のミスの話題から逸れたいのか、高津が妙な気を利かせて恭介に訊ねた。
隣でビクッと身体を強張らせる私には気づかず、悪気のない笑みをまっすぐ恭介に向けている。


「……ん。まあな。ちょっとここ数日、夜忙しくてな……」


そう呟くと、恭介は今度は憚ることもなく大きな大きな欠伸をした。
そのままチラッと私に目を向けて来て、私は慌てて目を逸らした。
ところが高津は、へえ～と言いながらどこかニヤニヤして身体を軽く乗り出した。


「課長……。女ですか？」


声を低めて探る高津に、私の心臓の方がドッキーンと騒ぎ出してしまう。
恭介は高津にニヤッと含ませた笑みを向けて、まあそんなとこ、と誤魔化しもせずにそう言った。


「でも今は水野さんがいるし、黙っとく」

「ええっ……。ってか、水野ならこういう話、大丈夫ですよ。なっ！」


ただの好奇心か、やっぱりミスから逃れたいのか……。
高津は私を巻き込むようにバンと背中を叩いてきた。
受け身が遅れて、私はうっと言葉に詰まった。
そんな私を横目に、恭介もクスクス笑っている。
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