麗雪神話~理の鍵人~
「言っておくけど」

セレイアは着替えを見ないよう彼に背中を向けながら、堂々と言い放った。

「今限りの協定よ。
あなたはいずれ私が殺すわ。でもあなたの怪我が治るまで、待ってあげる」

「………」

ヴェインは何も言い返さなかった。

ただ、もそもそと着替える音を聞いて、ちょっと安心する。

――安心?

(あああもう~~何やってるのよ私ったら~~~)

今更ながら自分の行動がばかげたものに思える。

でも、今のヴェインを殺すことに心が頷いてくれないのだから仕方がないではないか。

セレイアはこれからどうするか、頭を悩ませるのだった。
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