麗雪神話~理の鍵人~
あの方ほど強く美しい存在を、ヴェインは知らない。

あの方に抱く想いは、尊敬、憧憬…そんなふうに一言で語れるものではない。

ヴェインのすべての行動の動機も、すべての行動の意味も、何もかもが、メラノイドのためにある。

(それなのに…)

ヴェインはぎり、と歯を食いしばった。

あの方はいつだって、“スノーティアス”しか見ていないのだ。

それが悲しくて悔しくて…スノーティアスが憎い。

(必ずやご命令通り、スノーティアスを葬り去ってごらんにいれます)

しかし、ふと不安がよぎった。

その命令を遂行してしまえば、今度こそヴェインは主に捨てられるのではないか、と…。
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