麗雪神話~理の鍵人~
だが、ただの獅子ではない。

その毛並は白銀に輝き、その瞳は真っ赤な色をしている。

どれも自然界にありえぬ色。

「理の塔の守護獣だろうね」

ヴェインがなんでもないことのように言う。

「守護獣…? 塔を守ってるってこと…?」

「そういうことだね。さて、レコンダム陛下は無事かな」

ヴェインは天気の話でもするかのような口ぶりだ。

「先に着いたディセルたちはどうしたのかしら!」

もしやと思いセレイアは青ざめる。

「奴らなら、倒したんじゃない? 守護獣って言うのは何度でも蘇るし、一度負けた相手はもう襲わないからね。理の塔の下で、待ってると思うけど」

「なんでそんなに詳し――」

のんびりと会話をしている暇はなかった。
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