麗雪神話~理の鍵人~
第六章 理の塔

理の塔の巨大な入り口にひしめく、人々の姿が見える。

鎧の兵たち―おそらくレコンダムの兵たちだ。

そして、彼らを塔の中に入らせまいと立ちはだかり戦う、仲間たちの姿も見えた。

短剣を構えるサラマス。

同じく短剣で応戦するシルフェ。

長剣を振り下ろすボリス。

そして―――

「―――――!!」

声にならなかった。

その姿を見つけた瞬間、セレイアはまっすぐに、彼の下へと駆け出していた。

周囲の何も、目に入らない。

セレイアは人波をすり抜け、ひたすら走り、そして―

その人の腕の中に、迷いなく飛び込んだ。

「ディセル――――ッ!!」
< 118 / 159 >

この作品をシェア

pagetop