麗雪神話~理の鍵人~
しばし誰も、何も言うことができなかった。

セレイアは嘘だと叫びたかった。

こんな記憶、間違いであってほしいと思った。

仮に本当であったとしても、理の鍵人はポックによく似た別人であってほしかった。

そうだ、別人に違いない。

まさか、まさか、ポックの命と引き換えに、扉が開かれるなどと……。

(そんなこと、できるはずない)

「今の記憶………二人とも、見たよな」

「……」

「………」

震える声で、ポックが呟く。

「おいら、すべてを思い出したよ。
“理の鍵人”は、おいらだ。
運命の神様に命じられて、理の塔の中枢を守る鍵となるため、この日のために生み出された存在だったんだ…」
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