麗雪神話~理の鍵人~
「ポック!!」

「そんな顔しないで二人とも。
おいらは嬉しいって、言ってるだろ。
異端と呼ばれたおいらの命で、大切な友達を守ることができるなら、おいらは何も惜しくないんだ。これでおいらも、異端じゃなくなる気がする」

「でも!」

セレイアはとうとう泣き出してしまった。

「死んでしまったら、全て意味なんてないじゃないっ!
異端じゃないとか、認めてもらえるとか、全部生きてこそなのよ!
お願いだからポック―――! 違う方法を…!」

ふふっと、嬉しくてたまらないというように、ポックがまた笑った。

「そんな風に言ってもらえるなんてな」

ああ、だめだ、とセレイアは無力感に打ちのめされた。

ポックの目は、もう揺るぎない意志を宿していたから。

それはセレイアやディセルが何を言おうと、きっと変わらないと、わかってしまったから。

ポックの瞳が、空を見上げる。

それからゆっくりと視線をおろし、天上界を見下ろす。

すべてが愛しくてたまらない、というように。

(ポック……!!)

セレイアの想いは、もう声にすらなってくれない。
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