麗雪神話~理の鍵人~
二人は手をつないだまま、ついに、理の塔の中枢、最上階へと足を踏み入れた。

その場所の空気はとてもひんやりとして澄んでいた。

全身を、ずっしりと重たい何かが包み込む。

世界の理の重さ―であろうか。

星の記憶を見せられた時のようにセレイアはかなりふらついたが、それでも気力で立っていた。

無音すぎるゆえに、高い鈴の音がずっと鳴っているような錯覚を覚える。

あたりを見回す。

今までの部屋と違って、そこの広さは見た目と同じだった。

窓がなく、暗い広間のようになっているが、さして広くはない。

天井は尖塔の形に合わせてとがっている。

本棚どころか、一片の紙片もない。

ただ、ぴかぴかに光る石床の中央に、巨大な宝玉のようなものがのった台座がある。

宝玉は青とも黄色とも赤ともつかぬ虹色に輝いており、二人が近づくとその輝きを増した。

「これが、……理を支配するもの」

それしかここにはないから、そう判断するのが妥当だった。
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