麗雪神話~理の鍵人~
出会ったばかりのポックに、何もかも話してよいものか悩んでいると、ざくざくと雪を踏みしめて走ってくる足音が近づいてきた。

「セレイア!! ごめんセレイア、準神たちが全然話を聞いてくれなくて…っ!
よかった、無事で……っ」

現れたのがディセルで、セレイアはほっと息をついた。

このままずっと置き去りにされたらどうしようかと思っていたのだ。

セレイアが何か口を開く前に、ポックがディセルの前へと躍り出た。

「スノーティアス!
スノーティアスじゃないか!
わあ、帰ってたのか!」

その親しげな声掛けに、セレイアは少々面食らった。

ディセルもちょっと困ったような顔をしている。

「ええと…ごめんね。俺はまだ完全に記憶が戻っていなくて…。俺と親しくしてくれていたんだよね? 君は?」

「記憶が…? スノーティアス、おいらのこと憶えてないの?」

ポックはショックのためか一気に青白い顔色になる。
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