麗雪神話~理の鍵人~
「…とどめだ!」

ボリスが両手で剣を構え、その喉に突き立てようとする。

けれどおとなしくやられるレコンダムではない。

ボリスの腹に膝蹴りを叩き込み、ボリスの拘束から逃れてしまう。

しかし今のレコンダムは丸腰だった。

ボリスは、決着がつくまで腹の剣を抜かないことに決めた。

抜いてしまえば、出血多量で倒れる可能性もあるからだ。

相手が武器をなくした、今が好機――!

ボリスはレコンダムと向かい合った。

レコンダムの表情に焦りが見え、一歩、二歩とあとずさる。

しかしすぐに塔の手すりにぶつかり、彼の足は止まった。

「レコンダム、覚悟ぉぉぉぉっ!!」

ボリスの剣が、寸分たがわずレコンダムの心臓を串刺しにした。

大きく目を見開いたレコンダムが、口から血を吐く。

勢いのついたボリスの攻撃により、レコンダムの体が手すりの外へと大きく傾く。
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