麗雪神話~理の鍵人~
白銀の世界にそびえる、氷でできた透明の神殿風の建物が、雪の神スノーティアスの住まいだそうだった。

神殿は人間界でいうところの城にも匹敵するほどに大きく、この中にたくさんの準神たちが住み、スノーティアスの世話をしていたのだという。

長い年月を経て主を取り戻した神殿は、誰も彼も浮き足立っていた。

あれよあれよというまに、セレイアはあちこち案内され、その内容も消化できていないうちに、気が付いたら一人、広い部屋の中にたたずんでいた。

広いバルコニーから、ディセルに案内された“雪の庭”の景色が一望できる。

高々と水を噴きあげたまま固まった、氷の噴水。

そのむこうには雪原が広がり、どういう意味があるのかはわからないが、雪でつくられた大小のかまくらに、ランタン(か何か)でうすぼんやりと幻想的な光が灯してある。

広大な樹氷の森と、降り続く雪。

“雪の庭”とは、雪の神の住まいのことだ。

たとえばサラマスならば“炎の庭”に、シルフェならば“風の庭”に、それぞれ住んでいるのだという。

天上界はそのようにして光のヴェールにより神々の住まいが分かれているのだとか。

ディセルが自然と雪の庭にたどりついたように、サラマスたちもそれぞれの庭にたどりついている可能性が高いと、ディセルは言っていた。
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