麗雪神話~理の鍵人~
(これからどうしよう)

あらためて、室内に視線を転じてみる。

繊細な飾りのついたベッドに、チェスト、鏡台。

天上界と言えども、家具などは人間界と大差ないようだ。

透き通る氷の部屋は美しかったが、どこか落ち着かないかんじがした。

セレイアは天上界に来てからと言うもの、ぼんやりとしがちだった。

それもこれも、この天上界で、自分がどうしていいか、何ができるか、まったくわからないからだ。

そもそもどうして連れてこられたのかも、いまいちはっきりとしない…。

「なんでため息なんかついてるんだ? セレイア」

急に声を掛けられて、セレイアはびっくりした。

気が付くと室内にいつのまにかポックがおり、じっとセレイアをみつめていた。

我知らずため息をついていたらしい事実を知り、苦笑する。

「なんでかなあ……多分、いまいちはっきりとしないからよ」

「何が?」

「私がここにいる意味……かな」

セレイアが何気なくこぼした言葉に、ポックは敏感に反応した。
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