麗雪神話~理の鍵人~
「人間でも、そんなふうに、悩んだりするのか?
…昔のおいらと同じじゃないか。ここにいる意味がわからない、なんて……」

「ポックは昔、ここにいる意味がわからなかったの?」

セレイアの問いかけに、ポックははっとしたようだった。言い過ぎたらしい。

もじもじしながら、小さな声で言う。

「そりゃあな、見りゃわかるだろ? おいらはこのナリだから、天上界ではすごく浮いてる。異端なんだ。だからみんな遠ざける。こんな神様、おいらだって見たことないんだから仕方ない……」

「ポック…」

ポックの苦しみが、セレイアには少しわかる気がした。

姫巫女として働きながら、予言の力を持たないこと。

それは異端だ。

隠して働き続けていたが、もしも明らかにしていたら、どうだったろう。やはり人々から遠巻きにされただろうか。

「でもおいらは平気!
スノーティアスがおいらと友達になってくれたから。
そして、居場所のなかった異端のおいらに、この雪の庭っていう居場所をくれたから!」

小さな胸を張って笑顔で、ポックはそう言った。

ポックにとって、ディセルは数少ない、大切な友だったのだろう。

「ところで、セレイアはスノーティアスの何なんだ?」

「えっ!?」

唐突な質問に、セレイアの口から素っ頓狂な声が出てしまった。
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