麗雪神話~理の鍵人~
「おまえら、何者だ…!?」

彼は身構える。

男たちは彼の姿を見て、あからさまに嘲りの表情を浮かべた。

「なんだなんだ、天上界の神々ってのは、こんなのなのか?」

「ちょろいな。やっちまえ」

男たちはいきなり武器を振りかざし、彼へと襲い掛かってきた。

彼は残念ながら、戦う術を持たない。

自分でも自覚している、神とは違う、弱い生き物なのだ。

振り下ろされた剣をなんとかかわしたが、背後の樹氷の一部が粉々になった。

キラキラと降り注ぐ氷の粒。

その中を慌てて逃げようとしたがかなわず、無理やり捕えられてしまう。

「わあ! やめろ! 放せ!」

鋭い剣の切っ先が、彼へと迫る。

(助けて)

こんな時思い浮かぶ名は、たったひとつだけだった。

「助けて…!
スノーティアス……!!」
< 2 / 159 >

この作品をシェア

pagetop