麗雪神話~理の鍵人~
3
神殿の廊下を抜け、階段を下り、バルコニーから見えていた氷の噴水まで勢いを落とさず駆け続けた。
なんでこんなふうにディセルから逃げて走っているのか、だんだんばからしくなってくる。
(なにやってるのよ、私)
所在無げに氷の噴水を眺めていると、背後から誰かが走ってくる足音が聞こえた。
「セレイア!」
セレイアはぎょっとした。
まさかディセルが追いかけてくるとは思わなかったのだ。
(どんな顔して話せばいいのよ)
「ディセル……ええっと」
思わず彼の方を振り返ってしまったが、まともに顔を見られなくて、セレイアはうつむく。
二人の間に沈黙が落ちた。
ディセルの表情が見られないから、彼が今何を考えて沈黙しているのか、わからない。
けれどその沈黙が、ドキドキを含んでいる。
彼の存在を近くに感じるだけで、胸がきゅっと締め付けられる。
(…嘘。信じられない。
でもやっぱり私…………)
「セレイア…ごめん、怒っているよね」
「え……?」
沈黙を破ったのは、思いもよらぬディセルの台詞だった。
なんでこんなふうにディセルから逃げて走っているのか、だんだんばからしくなってくる。
(なにやってるのよ、私)
所在無げに氷の噴水を眺めていると、背後から誰かが走ってくる足音が聞こえた。
「セレイア!」
セレイアはぎょっとした。
まさかディセルが追いかけてくるとは思わなかったのだ。
(どんな顔して話せばいいのよ)
「ディセル……ええっと」
思わず彼の方を振り返ってしまったが、まともに顔を見られなくて、セレイアはうつむく。
二人の間に沈黙が落ちた。
ディセルの表情が見られないから、彼が今何を考えて沈黙しているのか、わからない。
けれどその沈黙が、ドキドキを含んでいる。
彼の存在を近くに感じるだけで、胸がきゅっと締め付けられる。
(…嘘。信じられない。
でもやっぱり私…………)
「セレイア…ごめん、怒っているよね」
「え……?」
沈黙を破ったのは、思いもよらぬディセルの台詞だった。