麗雪神話~理の鍵人~
「多分、好きなの…好きになってた、いつの間にか…私だって、離れたくなかった…ディセルがここに連れて来てくれて、私、嬉しかったのよ」

「…セレイア……」

その声音から、ディセルの驚愕が感じ取れる。

ここからは窺い知れないが、きっと呆然と目を見開いているのだろう。

「ほ、本当に…?
だって、君は、ヴァルクスが好きだって………」

「…好きよ。好きだけど……今私の胸にあるのは、もっと強い、あなたへの気持ちだから……いい加減だって、思われても、仕方ないけど…」

セレイアは必死で言葉を紡いだ。

今伝えなければ、きっと一生伝えられないと思ったから。

「私きっと、あなたが、好きなんだわ」

ぎゅっと、背中にしがみつく腕に力を込める。

すると突然。

ディセルがセレイアの腕を振りほどいた。

(え……?)
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