麗雪神話~理の鍵人~
サラマスは彼女に対し貼り付けたような笑顔を浮かべながら、首を横に振った。
「いいえ、俺は何もできていません。依然として“飛天の能力者”を見つけ出すこともできず……本当に申し訳ありません、ディーネ様」
「よいのです。もとより決して簡単でないことはわかっていました。
無事で何よりですわ」
ディーネリアの微笑みを直視できないのか、サラマスがわずかに頬を染めて視線を逸らす。
サラマスの気持ちは、はっきり言ってばればれだった。
ちょっと見ただけのボリスがわかるのだ。ディーネリア本人は、気づいているのだろうか。
その時、「ディーネ、客人か?」と声が聞こえ、奥の間から颯爽と歩みいってくる人影があった。
現れたのは、滝のような黄金の髪を背に流した、情熱的な赤い瞳の偉丈夫だった。
(誰だこいつ)
文句の付けどころのないような凛々しさ美しさの男性だが、ここ水の庭では違和感のある容姿である。
「サンディオス様。ええ、サラマスたちが無事帰還を」
「そうか。だがサラマスたちはどこへ行っていたのだ? 何か私に隠し事でもしているのではないか」
「ええ、していますわ。
あなたは決して許して下さらないでしょうから、ね」
「ディーネ……お前は、まったく」
悪びれずに微笑むディーネリアを、サンディオスと呼ばれた青年が愛おしくてたまらないというように見つめ、そっとその髪をすく。ディーネリアはうっとりとしたまなざしを彼に向けていた。
「いいえ、俺は何もできていません。依然として“飛天の能力者”を見つけ出すこともできず……本当に申し訳ありません、ディーネ様」
「よいのです。もとより決して簡単でないことはわかっていました。
無事で何よりですわ」
ディーネリアの微笑みを直視できないのか、サラマスがわずかに頬を染めて視線を逸らす。
サラマスの気持ちは、はっきり言ってばればれだった。
ちょっと見ただけのボリスがわかるのだ。ディーネリア本人は、気づいているのだろうか。
その時、「ディーネ、客人か?」と声が聞こえ、奥の間から颯爽と歩みいってくる人影があった。
現れたのは、滝のような黄金の髪を背に流した、情熱的な赤い瞳の偉丈夫だった。
(誰だこいつ)
文句の付けどころのないような凛々しさ美しさの男性だが、ここ水の庭では違和感のある容姿である。
「サンディオス様。ええ、サラマスたちが無事帰還を」
「そうか。だがサラマスたちはどこへ行っていたのだ? 何か私に隠し事でもしているのではないか」
「ええ、していますわ。
あなたは決して許して下さらないでしょうから、ね」
「ディーネ……お前は、まったく」
悪びれずに微笑むディーネリアを、サンディオスと呼ばれた青年が愛おしくてたまらないというように見つめ、そっとその髪をすく。ディーネリアはうっとりとしたまなざしを彼に向けていた。