麗雪神話~理の鍵人~
「スノーティアス、あなたの記憶を完全に取り戻すには、やはり理の塔に行かねばなりません。そしてその記憶は、今の天上界にとってとても重要なのです。なぜ重要か、詳しくはまだ、わたくしの口から語ることはできませんが……ぜひ、記憶を取り戻していただきたい。それはあなたの願いでもあるでしょう?」

「…はい、わかりました」

スノーティアスたちは、一も二もなく理の領域行きを了承した。

「それにしても天上界を乗っ取る…だなんて」

スノーティアスが青ざめている。

やっとたどり着いた故郷が侵略されそうになっているのだ、無理もないだろう。

そんな彼の手を、セレイアがそっと優しく握って彼をみつめた。

「大丈夫よ。私たちで何とかしましょう?」

「セレイア……うん、ありがとう」

スノーティアスはセレイアの手に自分の手を重ねる。二人はみつめあい、微笑みあった。

その様子を、サラマスが半眼で見ながらぽつりと言った。

「なんか二人の雰囲気、変わってねぇか」

「ふふ、なんかあったのかもね」
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