麗雪神話~理の鍵人~
「―あの、ディーネリア様。
理の塔に行けば、彼女を天上界の住人として認めてもらうことも可能なんですよね?」

スノーティアスがセレイアの手を握ったまま、ディーネリアに訊ねる。

ディーネリアはゆったりとほほ笑んで答えた。

「もちろん、可能ですわ。そして彼女なら、新しい住人として、誰もが歓迎するでしょう」

「なら、俺はそのためにも、絶対理の塔に行かなければ。彼女とずっと、共にいるために」

これに驚いたのはサラマスたちだ。

「えっ、もう話はそこまで進んでるのか!」

「ほんと、私たちがいない間に何があったのかしら」

ほほえましそうに見守るサラマスとシルフェの隣で、ボリスは光が見えたような気がしていた。

神と人間のカップルが、目の前で成立しているのだ。

やっぱり自分も、まだシルフェのことを諦める時ではないのでは、と。

「それでは理の領域への行き方を―――――」

ディーネリアが水滴を浮かせて地図を示そうとしたその時、広場に大声が響き渡った。

「ちょ~っと待ったあ!
話は聞かせてもらった。道案内ならおいらに任せてくれ! スノーティアスたち!」
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