麗雪神話~理の鍵人~
朗々と響き渡る少年の声。

その割に姿が見えなくて、ボリスは思わずきょろきょろとあたりを見回してしまう。

シルフェもサラマスも同じだったようで、声の主を探して視線をさまよわせていた。

しかしスノーティアスとセレイアは、聞き覚えのある声だったからか、すぐにその主を見つけたようだ。

二人の視線を追ってはじめて、ボリスたちは声の主の姿に気が付いた。

ボリスの感想は、こうだ。

(小っさ……っ!! え、妖精……!?)

光の加減で虹色に輝く髪と瞳と薄い羽を持った、手のひらサイズの生物。

どう見ても、しばしば物語に出てくる“妖精”そっくりである。

けれどまさか、実物が存在していたとは…。

小さな彼の出現に、ディーネリアも目を見開いて驚いていた。

「まあ、あなたは?」

「おいらは、えっと…多分神様の一人の、………ポックです。スノーティアスの友達なんです!」

「このちっこいのも神様なのか?」

思わず正直に「ちっこい」なんて言ってしまったサラマスを、ポックが睨みつける。

「ちっこいって言うな!
虫とかに比べたら、だいぶ大きいやい!」
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