麗雪神話~理の鍵人~
しかもその料理の腕はすこぶる良く、セレイアはできあがったシチューを一口口に含んだ瞬間、思わず「おいしい」と笑顔になっていた。

「うん、なかなかやるな、妖精」

ボリスも頬をおさえて唸っている。

「妖精じゃないやい!」

「じゃあ、チビ」

「チビっていうな! ポックって呼べ!」

そんな賑やかなやり取りの中、セレイアがにこにこしながらシチューを食べていると、それをじっと見つめていたディセルがこんなことを呟いた。

「やっぱり食べてる姿もかわいい……」

「えっ!?」

その一言は運悪く全員の耳に届くこととなり、皆がディセルに注目した。

セレイアは耳まで真っ赤になってしまった。

セレイアの反応と皆の視線を受けてはじめて、ディセルは自分の心の声が声になっていたことに気付いたらしい。

ディセルもぼっと、面白いくらいにわかりやすく赤面した。

「いや、その、うん………」

「…………」

恥ずかしがってうつむく二人。

「まったくアツイねえ」

冷やかすようなサラマスの一言で、二人がますます真っ赤になってしまったのは、言うまでもない。
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