麗雪神話~理の鍵人~
「橋を落としてしまえばいいわ! サラマス、私と一緒にここから橋を狙って。
セレイアたちは橋の前で、これ以上の兵が来るのを防いで!」

「わかった!」

シルフェとサラマスを上空に残し、セレイアたちは橋の前へとおろされた。

降り立った瞬間から、問答無用で戦闘が始まった。

橋の前にもし誰かが立ちふさがったら、敵とみなすよう指示が出されていたに違いなかった。

「ここから先は通さないわ! はあっ!」

セレイアの槍がひらめき、甲冑の男たちをなぎ倒していく。

ディセルは氷の剣で、ボリスは長剣で、襲い来る兵たちと戦った。

「レコンダムはどこだ!!」

ボリスは戦いながらもそう叫び、視線をさまよわせている。

レコンダムは大将、おそらく先頭にいたはずだ。

シルフェたちが橋を落としてくれるのが早いか、レコンダムたちが渡りきるのが早いか……。

ここからはその攻防の様子は良く見えない。

ただ頭上で風が唸り、炎が迸る空気の流れは感じられた。

まだ橋は落ちていない。それだけはわかる。

ひゅんひゅんと何かが風を切る音がして、思わず橋の方を振り返ると、橋の上の兵たちが上空の二人に向けて矢を放っているのがわずかに見えた。

狙い撃ちだ。
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