麗雪神話~理の鍵人~
第四章 切なる口づけ

「ここが……“理の領域”………」

セレイアは思わず自分の両腕をさすった。

何か変なかんじのする場所なのだ。

何がどう変、とは言い難い。あえていうなら空気が変、というか。少し重い気がする。今まで感じたことのない、強い力が働いているのがわかる。

それは神々の力とは別のもの、もっと大きなもののように感じられた。

セレイア一行はシルフェの風の力で空を飛び、湖を越えた。

そして向こう岸に着いたと思った瞬間、急に風がなくなり、一行は地面へと落下したのだった。

皆したたかに腰を打ち付けたが、とりあえず全員無事だった。

「ほんとに力、使えねえ…なんだこれ」

サラマスが自分の両てのひらをみつめて呆然としている。

炎を出そうとしているのだろう。普段呼吸のように楽に炎を操れるサラマスからしてみれば、一大事なのだ。

ディセルも右手を空にかざして首を捻っている。

「俺もだよ、サラマス。
雪も、氷も、集ってくれない。ここは……変だ」
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