麗雪神話~理の鍵人~
「俺をなめてもらっちゃ困るぜ?
普段ちゃあんと訓練してるんだから、山道くらいへっちゃらさ」

シルフェも彼に同調する。

「私も、大丈夫。ちょっと自信はないけどがんばるわ」

「俺も。大丈夫でなくても行かなくちゃ」

ディセルは自信があるというより、使命感に燃える目をしていた。

「俺様はレコンダムがいる場所なら、地の果てまでも行くさ」

人間の武人であるボリスは問題ない。むろん、セレイアもだ。

「じゃ、いっくぞ~!」

ぱたぱたと羽を広げてポックが先頭を行く。

「ポックはここでも力を使えるのね。どうして?」

何気なくセレイアが訊ねると、ポックは肩をすくめて見せた。

「さあなあ。
おいらにもわかんない。
でもま、ラッキーってことで、みんなおいらの力を頼りにしてくれ!」

ポックの頬は紅潮している。

頼りにされることが、嬉しくてたまらないのだろう。

「レコンダムと、理の塔をめざして! いざ出発!」

ポックの元気な掛け声が、理の領域のどこか重い空気を軽くするようだった。
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