麗雪神話~理の鍵人~
理の塔へ続く山道は、想像以上に険しかった。

もとより人の通ることとてない場所、道があるだけまだましなのかも知れない。

それでも道はごつごつと岩がむきだしで、たいへん歩きにくく、道なき道を行くくらいに体力を奪われる。油断していたら靴も穴があきそうだった。

蛇行した急な上り坂を、一行は荒い息をつきながら登っていた。

レコンダムたちも、ここを通ったに違いないが、かなり苦戦したのではないだろうか。

脱落者が出ていてもおかしくないが、今のところ出会っていない。ということは、さすが兵士、体力のある者達ばかりだったのだろう。

「これからここを登るぞ!」

辛い道のりに口数が少なくなっていた一行は、ポックが指し示した場所を見て、一様に閉口した。

―坂道ではない。もはや崖、だ。

手を滑らせたらまっさかさま、である。

「ロッククライミング……? ここ、ほんとに登れる…?」
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