麗雪神話~理の鍵人~
セレイアはとまどっていた。

こんな形で自分まで天上界に来るはずではなかったのだから。

ディセルの瞳にも、わずかなとまどいが見える。けれど、後悔のような感情は影も形も見えなかった。かわりに、真剣な想いがそこにあった。

ディセルに愛されていると、セレイアは改めて感じた。

(ディセル……)

セレイアが何か言葉にしようと口を開きかけたその時だった。

「スノーティアス様!」

「スノーティアス様! よくぞお戻りに!」

複数の足音が二人に近づいてきた。

二人が視線を向けると、ディセルによく似た銀色の髪と瞳を持った男女が数名、息を切らしてこちらに駆けてくるのが見えた。

皆頬を紅潮させ、中には涙ぐんでいる者までいるようだ。

「天上界の住人…ってことは、この人たちも神様?」

揃いも揃って美しい男女に、セレイアは圧倒される。

「ええっと…確か、彼らは神様だけど、“準神”って言って、人間界に直接影響を及ぼさない、見習いの神様みたいなもの、だったはず。俺に仕えてくれていたんだ」

ディセルが記憶の糸をたぐるようにしながら、そう教えてくれた。
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