麗雪神話~理の鍵人~
「スノーティアス様!!」

準神たちは近くまで来ると、感極まったように全員その場にひれ伏した。

「…心配をかけて済まなかった。今、戻った。どうか皆、顔を上げて、立って」

少し困ったようなディセルの声掛けに、準神たちは一斉に立ち上がり、ディセルの肩や背中、腕に触れ、涙を流しながら喜んでいた。

「スノーティアス様、本当に心配したのですよ」

「御無事でよかった」

「さあ、神殿に、あなた様のお住まいにまいりましょう!」

「ええと、その前に、皆に紹介したい人が――――」

準神たちはそのまま、ディセルを引きずるようにして去って行ってしまった。

セレイアは、自分のようなただの人間が、彼らを追いかけていいものかわからず、その場を動くことができなかった。

そのうちに彼らの姿は見えなくなった。

セレイアだけが、白銀の世界にぽつんと一人残されてしまった。

「え………っと」
< 8 / 159 >

この作品をシェア

pagetop