麗雪神話~理の鍵人~
相手が誰かによって、どうすべきかが変わってくる。

レコンダムの手の者であれば、迂闊にこちらの存在を知られるわけにはいかない。

ディセル達という可能性もある。その場合隠れる必要はない。

(でも、万が一があるわ)

セレイアは槍をつかむと、ポックと共にテントの影に隠れて息を潜めた。

セレイアの耳にも、近づいてくる第三者の足音が届く。

ずるずると、片足をひきずるような音だ。

けがをしているのだろうか?

息を潜めて、暗がりの中からたき火の灯りの輪の中へと、第三者が姿を現すのを待った。

荒い息をつきながら、灯りの中へと姿を現したのは――――



(――――――!!)

セレイアは息を呑んだ。

焦点を失いかけた闇色の瞳。

全身ずぶぬれで、深緑の髪からぽたぽたと滴が滴っている。

そして顔の半分を覆う仮面。

彼は、まぎれもなく。


(ヴェイン―――――!?)
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