ゴールデン☆キャット
もう触れてもおかしくない筈なのに、唇になんの感触もなければ温もりも感じない。


っ__!?


恐る恐る目を開けると、直ぐ傍で尊と目が合った。



「チューしようと思ったけど、風邪移しちゃわりーから今日はナシ〜。」



尊はそう言うとまた膝の上に頭を載せた。


ずっと待ってた私って……恥ずかし過ぎる!!


チュー……。



「何? その顔。 言ってくんなきゃ分かんねーよ?」

「…………。」



嘘つき……絶対分かってるくせに。


私の髪の毛を一束掬い上げた尊は悪戯っ子みたいな顔をしている。



「チュー……したいんですけど……。」

「俺も。」



後頭部に手を回され、グッと顔が近付いた。


唇から伝わる甘い温もりはやっぱりまだ慣れなくて、心臓がどうにかなっちゃいそうだった。
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