ゴールデン☆キャット
頭の中で何かがキレる様な音がした。



「なんでそんな考えになるのか全然分かんない！！　尊の事が好きなら何でどうでもいい人と付き合ったの！？　なんで直ぐ諦めっちゃったの！？」

「あんたっ＿＿そういうところが見下してるって言ってんだよ！！　私がどんだけミコの事が好きだったかあんたには分か＿＿」

「好きな人がいるのに他の人と付き合うとかっ＿＿その程度の好きだったって事でしょ！？　もし尊にふられたとしても、尊に新しい彼女ができたとしても私だったら納得できるまで諦めない！！　そんな中途半端な事絶対しない！！」



笹野さんが手を勢いよく振り上げた。


私は咄嗟にギュッと目を瞑った。


…………。


あれ？


覚悟していた筈の痛みが襲ってこない。


ゆっくり目を開けると、笹野さんは手を振り上げたまま泣いていた。



「なんであんたなの？　なんで……っ、ほんとっムカつく……っっ」



笹野さんは地べたに座り込むと、わんわん泣き始めた。


私は声を掛ける事も、その場を離れる事もできなくて、そばでちょこんと座って居る事しか出来なかった。
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