イケメン王子先輩と私。
完璧王子様
気になる……。
「雫〜っ! ちょっとこっちきてよ!!」
私、星空雫を呼んでいるのは私の幼なじみの親友、愛嶋奏。奏は教室の窓辺から校庭を見ていた。
「なに? 奏」
奏の方に駆け寄ると、奏は『あの人見てみて!』と、指をさして目をキラキラ輝かせていた。私は“あの人”の方を見てみた。
「ふーん。……で? あの人がなに?」
「で? って……。超かっこいいじゃん!! ほらッ、今シュート決めてた!!」
「……あの人、誰?」
男に興味がない私には、全く誰なのかが分からなかった。先輩なのか同じ2年生なのかも知らない。だけど奏なら知っている。
「あの人はねっ、この高校の三年生の結城霰くんだよ! テストで満点とってて、運動神経抜群で性格も顔も全ていいの! 皆からは『王子』って呼ばれてるのよ」
王子ねぇー……。すると、校庭の外野や教室で黄色い声が響いた。
「「キャーッ、王子ーっ!!」」
結城先輩は外野や教室で手をふっている女子生徒達ににっこりと笑顔をむけて手を振った。隣にいる奏も目がハートになっていて、メロメロだ。
「キャーッ、雫っ、王子がこっちむいたよ! ほら見て!」
確かに、結城先輩は奏の方をむいて手をふっていた。すると、結城先輩は奏の隣にいた私にむかってニコッと笑ってきた。
「いいなー雫、手振ってくれて!」
「……うーん、どうでもいい」
「えーっ……あっ、待ってよ雫〜」
男なんてどうでもいい、興味がない。そう思っていた。
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