イケメン王子先輩と私。
転校生
元カレの登場……。
数週間後。私のクラスに転校生がきた。噂では男子らしい。そして朝学活に転校生が紹介された。
「皆さん、この子は転校生の塔道遊真くんです。仲良くしてあげてくださいね。特に塔道くんの隣の席の星空さん、授業で移動する時は一緒にいてあげてください」
……なんでいるのよ。なんでアイツ……この高校の生徒になってんのよ。
「よろしくー、雫」
「……最悪……」
私は小声でそういった。休み時間は隣が超うるさいし。女子が凄い集まってるし?遊真は金髪で耳にはピアス、しかも私からしたらキツい匂いにしか思えないくらい香水つけてるし、……まあ、顔はいいんだけど……女好きなんだよね。昼休み、私は久しぶりに空き地に向かった。
「……あ、きたんだ」
「霰……! 今日私のクラスに転校生がきたんだけど、その男子がアイツ……塔道遊真だったの。しかも隣だよ?」
「うわ、なんか凄いトラブル起きそうな予感するんだけど……。アイツ、ピアスで金髪ってヤバくねぇか?」
「うん。昔はあんな感じじゃなくて、もっと真面目だったんだけど……彼女の影響かなぁ?」
「あぁ、……てか、後ろにいるけど」
「え?」
そーっと後ろを振り返ると……。
「よぉ雫。何してんの? こんなところで」
「ひっ、遊真……。いつからいたのよ」
「ひっでーなー、元カレにその言い方はないだろ。……ていうか、何ここ? ここって生徒は立ち入り禁止だよなぁ?」
「お前に関係ねぇだろ、早く教室に戻れ。塔道遊真」
すると、霰は私の前に立ってそういった。
「おー、お前が今の彼氏の結城霰先輩? イケメンって聞いたけど、俺には及ばねぇな。ま、今日はこれくらいにしてやるけど。今度会った時は……な」
「あぁ、わかってる。雫にはあまり関わんな。雫は俺のもんだから」
「へいへい、わかったわかった。じゃーな、王子サマ」
そういって遊真は教室に戻っていった。
「……かつく」
「……え?」
「アイツ、超ムカつく。先輩にむかってあの態度? つーか、タメ口かよ」
「え、私もタメ口だけど……」
「お前は特別だから」
「えっ、ちょっと……霰!?」
そういって霰は空き地を出ていった。私は特別……。数分後、私も教室に戻った。――数日後、霰からメールがきた。
【13:05に俺の家にこい】と送られてきた。何だろう?そう思いながらも、霰の家に走った。チャイムを鳴らすと、私服姿の霰が出てきた。
「随分早いな。まぁいい、あがって」
「「「この子が雫ちゃん!?」」」
「ひぃっ! だ、誰ですか!?」
リビングにいくと、体格のよい男、金髪の男、女の子みたいな男がこっちに走ってきた。
「あー、俺の兄弟。右から時雨、雹牙、雪明。俺は三男」
凄い、4兄弟……。じゃなくて!!
「霰、今日はなんで私を呼んだの?」
「あー、そうそう。アイツ……塔道をこらしめてやろうと思ってな。その事を兄貴達に話したら『俺達もやりてぇ』って言い出してさ。……雫もやるか?」
「遊真を……、こらしめる?」
「そう。今まで沢山嫌なことされたんだろ? だから、復讐するってこと。やるか? あっちはヤンキーで連れが沢山いるらしいけど……」
「うん。できる限りやる」
その後、遊真をこらしめる作戦を計画した。そして話が終わったあとは、他の話をした。
「――で、この雫ちゃんと付き合ってるの?」
「あぁ、そうだけど」
「いいな〜、僕も恋した〜い!」
「そうだな、俺も恋したことねぇな……。時雨兄さんは?」
「俺か? ……まぁ、2人くらいは付き合ったことはあるぞ」
「雫は? 俺がはじめてじゃないことは知ってるけど」
いきなり話を振られ、コーヒーが変なところにいってむせた。
「げほっ、……うん。2人目だよ」
「だよな。雫、男に興味ないってアイツと別れたあとからだし」
「うん。……あ、もう帰らなきゃ……!!」
気がつくと、もう5時になっていた。
「あ、じゃあ送ってやろうか?」
「でも今日は塾だし……結構遠いよ?」
「大丈夫。いくぞ」
「……うん」