一夜くんとのアヤマチ。

「あっ、あの、隣いいですか…？」

鵜児くんは隣に座っていた男の人と楽しそうに喋っていたので、どこか気が引けてしまった。だけど鵜児くんは優しく「どうぞ」と答えてくれた。

「双生、今日ついてるんじゃね？」
「ん？」
「なくしてた財布見つかったんだろ？　おまけに、隣にこんなカワイイ子来てるし」

鵜児くんの隣の人がささやく。

「星占い一位だったからね」

講義が始まるまでまだ時間がある。暇を持て余すのが苦手な性格の私は、鵜児くんに話しかけてみた。

「あの…お名前は…？」
「僕ですか？　僕、鵜児双生っていいます。教育学部の一年で…」
「あ…じゃあ一緒ですね！」
「えっ？」
「私も、教育学部の一年なんです！」
「あ、そうなんだ…全然気づかなかったな…」

鵜児くんが後頭部を撫でる。

「あっ、名前言うの忘れてました…。鷹夏日向っていいます、よろしくお願いします」
「同い年なんだから敬語なんて使わなくてもいいのに…」
「…」

自然と顔が赤くなってしまい、私は下を向いてしまった。そして、先述のカリスマ先生が教壇に上った。

これが、私と鵜児くんの出会い。

「あの時、僕の隣にいた奴いるじゃん？」
「ああ…あの人？　名前忘れちゃったな…」
「あいつ、今結婚アドバイザーやってるんだ」
「結婚アドバイザー？」
「うん。…そいつに、ちょっと相談してみたんだ」
「何を？」
「…好きな人がいるって」