一夜くんとのアヤマチ。
「…へ~…」

その言葉は、私にはやけにすんなりと受け入れられた。

「あ…興味ないよね。ゴメン」
「いや、あの、そういう意味じゃなくて…鵜児くんもか、って思って」
「どういうこと?」
「鵜児くんも、恋とかしたんだ~って。ほら、私、今まで恋愛とかしてこなかったから…」

鵜児くんの顔が、若干だけど暗くなった。

「…実はさ」

鵜児くんの目が私に向けられる。

「僕が好きなのって…」

鵜児くんの目は、私の姿を曇りなく映していた。だからだろう。鵜児くんのその後の言葉は、言う前に読み取れた。

鵜児くんが好きなのは…私。

「…いつから?」
「え?」

自分の言葉を遮られたんだ。拍子抜けするのも当然だろう。

「いつから好きだったの? 私のこと…」
「…初めて二人で出かけた時。…情けない話だけど、あの時ジェットコースターで酔って、吐いちゃったでしょ?」

大学に入って、初めての秋。涼しくなってきたその時期に、私と鵜児くんは二人で遊園地に行った。

「じゃあ、次あれ乗らない?」

当時「後ろ向きシステム」が導入されたそのジェットコースターは、私も鵜児くんも、一度は乗ってみたいと言っていた。そして乗ったのだが…。

「うぅ…」
「大丈夫…?」

鵜児くんはどうやら絶叫系が苦手だったらしく、降りてすぐに吐いてしまったのだ。
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